練習器具で有名な「アザスゴルフ」がオーダーシューズを作っていた
冒頭に挙げた女性ゴルファーがオーダーしたのは、練習器具で有名な「アザスゴルフ」のプロダクト。上に表示されているシューズの数々は、すべて同社に実際にオーダーされたシューズだ。定番っぽいものから、銀や金、迷彩柄にファーを組み合わせたド派手なものまで、オーダーした人の個性が光るデザインが目白押し。これ一体、何パターンくらいあるんだろう?
「何パターンあるかはちょっとわからないのですが、まず基本的なデザインが男性向けだと4種類あります。デザインごとにつま先やアッパー、ベロの部分など5〜7か所を約200種類ある素材の中から自由に組み合わせられますよ」というのは同社代表の村田雅久さん。
なるほど。じゃあ仮に5カ所を200種類から自由に組み合わせられるということは、200の5乗だから、3200億通り。6カ所ならば、64兆通り。7カ所ならば……いや、やめておこう。断言しよう、自分のイマジネーションに従ってオーダーすれば、それはほぼ間違いなく「世界にひとつだけの靴」となる。
思い入れのあるジーンズの「ゴルフシューズ化」も可能
「ジーンズやバッグなど、ご使用になっていたモノをシューズにリメイクすることもあります。また、基本的には素材となる皮の色と同じ色のステッチ(糸)を使うのですが、白い皮にあえて赤いステッチを合わせたりとか、女性であればスワロフスキー(クリスタルガラス)を入れたりとか、そういった工夫も、一部追加料金が必要ですが、できます」
と語る村田さん、もともと自動車の販売や修理、ガソリンスタンド経営などを手がける自動車関係の会社を経営していた。それが「自分で使いたいから」と素振り用バット「ドライバット」を作ったところ、推定販売本数19万本の超ヒット。今回のシューズも「自分の履きたいのがないから」という理由で、靴職人に教えを乞い、靴工場を買収して作り始めたのだという。なんというか、スケールがデカい!
世界にひとつだけの靴。それはこだわりとこだわりの正面衝突で生まれる
アザスゴルフの特徴は、ほぼ無限に近い組み合わせが選べる点だけではない。足のサイズを細かく測定して、それに合わせて靴を調整してくれるのはもちろん、それ単独で購入すれば1万円近くするインソール(中敷き)をこれまたオーダーメイドで作ってくれたりと、至れり尽くせり。
つまり見た目が派手なだけじゃなく、実は履き心地にも大いに自信のある靴なのだ。「そのために工場を買ったところもありますからね。アウトソール以外は自社で最初から最後まで作れるのが、ウチの強みです」と村田さん。デザインは基本的にすべて奇をてらわないシンプルでクラシカルなもの。それを現代に合わせてやや細身に作ってある。
「自分が欲しいから」という理由で練習器具を作り、次もやっぱり「自分が欲しいから」という理由で靴作りを学び、靴工場まで買ってオーダーシューズ事業を立ち上げてしまった村田さんの超がつくこだわりと、ゴルファーひとりひとりのこだわりが正面衝突して生まれる世界にひとつのオーダーシューズ。お値段4万1040円(税込)はこの徹底的なこだわりを考えれば決して高くはないと感じたのだがいかがだろうか。