漫画編集者が主人公の漫画が原作
ドラマ「重版出来!」が、ここに来て視聴率をジワリと伸ばし、内容も面白いと話題だ。そこでTUG編集部では原作漫画を読んでみたところ、これがTUG世代が読むべき作品だったのでご紹介(ちなみに『じゅうはんでき』ではなく『じゅうはんしゅったい』と読みます)。
そもそも「重版出来」とはなにかといえば、出版物を増刷すること。一冊の本を世に出し、それが順調に売れ、書店での在庫が少なくなって……となってはじめて「重版出来」となるわけ。その内容はどのようなものなのか。印象的なセリフを引用しつつ紹介していこう。
「黙っていたら本は売れない」前提
ほっといても本が売れたから売る努力をしない営業も編集も山ほどいて、経費だけバカスカ使い込んで、そういう連中が雑誌を喰い潰したんだ。
電車のなかで誰もがスマホを見ている時代に、本をいかにして売るのか。本作の最大の特徴は、「いいものを、心こめてつくれば売れる」といった精神論に頼らず、確固とした戦略と、地道な努力、そしてなにより情熱がなければ、「売れない」という立場をとっている点だ。漫画家や編集者から熱く支持されるという理由が、このリアルさにある。
語られるのは、「どうやって“売る”か」だ
漫画は、おもしろくても売れるとは限らない。売れそうな本がイマイチだったり、無理そうな本がヒットしたり、なんでそうなのかわからない――わからないから、売るのはおもしろいんだ。
他の「編集者漫画」との違う点が、本や作品を「つくる」ことではなく、「売る」ことにフォーカスしている点だ。本をつくるのは編集の仕事。書店に置いてもらうのは営業の仕事。そして実際にお客さんに本を売るのは書店の仕事。その3つの視点から物語が進むため、「お仕事漫画」として一本調子にならずに楽しめる。
仕事って、おもしろい。
これが僕の仕事なんだ…これが、営業のおもしろさなんだ!!!
…なんで売れたかわかんないって?「売れた」んじゃない。俺たちが――売ったんだよ!!!」
仕事はおもしろい。本気でやれば、サイコーにおもしろい。出版界が舞台ではあるけれど、これは結局「本気で仕事をしている人の物語」。だからこそ、多くの人の心に届くのだろう。ドラマは観る時間がないよ~という人は、原作漫画をぜひチェックしてみよう!
こちらもオススメ①「編集王」
漫画編集者が主人公の作品であれば、これもドラマ化された「編集王」もオススメだ。どちらかというと「作品作り」に主眼を置いた内容で、読めば胸が熱くなること必至。
こちらもオススメ②「働きマン」
漫画編集ではなく、週刊誌編集者が主人公。「働く」という行為自体をテーマにしたような内容で、とくに働く女性が共感できる内容。週刊誌編集部の模写も実にリアルだ。