いよいよ2016年のPGAツアーも大詰めのプレーオフへと突入する。なんとな〜く「勝てば10億円」みたいなイメージがあるプレーオフ、実際どんな内容なんだっけ?
そもそもフェデックスポイントってなんだっけ
たとえば日本ツアーはシンプルだ。プロたちはシーズンを通してツアーを転戦し、その賞金額の合計を競う。1位になれば賞金王だ。それに対してPGAツアーでは、獲得した賞金額よりも「フェデックスカップポイント」をどれだけ獲得したかが重要になる。
フェデックスカップポイントは、通常のトーナメントは500ポイント、メジャーとプレーヤーズ選手権は600ポイントといった具合に、試合の「格」によって一定のポイントが付与される。このポイントランキングで125位以内に入った選手にのみ与えられるのが、プレーオフ初戦への出場権なのだ。
プレーオフに進めなければ、フェデックスカップポイントの年間王者にはなれない。そして、フェデックスカップポイントの年間王者には1000万ドル(1ドル100円で計算して10億円)という超弩級のボーナスが与えられる。プレーオフの4試合は、端的に言って125人のゴルファーによる10億円の争奪戦なのだ。そして、10億円のチャンスは125人すべてに残されている。詳しく見ていこう。
4試合で行われるポイント4倍のサバイバルレース。頂点に立てば1000万ドル
レギュラーシーズンでのフェデックスカップポイントランキング125位以内とは、すなわち来季のシード権をすでに得ているエリート選手ということ。ちなみに1位のジェイソン・デイは2735ポイント、2位のダスティン・ジョンソンは2701ポイントを持って、プレーオフに突入する。ちなみに松山英樹は1468ポイントで12位だ。
ここからが面白いのだが、プレーオフで得られるフェデックスカップポイントは、通常の試合の4倍。優勝すれば2000ポイントが手に入る。つまり、プレーオフ初戦のザ・バークレイズで松山が勝てば、ポイントは一気に3468ポイントまで積み上がり、一気にポイントレースの先頭に立つ可能性もあるのだ。他の順位のポイントも4倍となるので、下位選手が大まくりすることも十分に可能だ。
最終戦まで生き残れなければ10億円は得られない
また、プレーオフは第1戦は125人、第2戦のドイツバンク選手権は100人、第3戦のBMW選手権は70人というふうに、徐々に出場可能人数が少なくなっていく。最終戦のツアー選手権の出場人数はわずか30名(第3戦と最終戦は予選落ちなし)。とにもかくにもこの30名に入ることがプレーオフの最初の3戦では重要だ。
ツアー選手権では、レギュラーシーズンで得たポイント+プレーオフ3戦で得たポイントの合計に応じて、ポイントが再配分される。具体的にはランキング1位なら2000ポイント、2位なら1800ポイント、5位で1280ポイント、最下位の30位で168ポイントを持って、最終戦に臨むことになる。
なぜこんな七面倒なことをするかといえば、それは最終戦まで大逆転の可能性も残すためだ。前述したようにプレーオフでの優勝は2000ポイント。30位の選手が仮に優勝した場合、最終的な彼のポイントは2168になる。1位の選手は2000ポイントを持っているが、もし仮に彼が最下位で終わった場合の最終的なポイントは「2164」で、優勝した30位の選手にわずか4ポイント届かない。つまり、プレーオフ最終戦にまで駒を進めれば、たとえ30位でもボーナスを手にするチャンスは(ほんのわずかにだが)残されているのだ。
ここまで分かれば、プレーオフを楽しむ準備はおおむね終了。松山英樹は、プレーオフの優勝予想で、PGAツアーから「5位」の評価を得ている。日本人初の年間王者も、全然まったく夢ではないのだ。
※2016年8月24日12時14分、一部文言を修正しました