ゴルフのテレビ観戦は、ほかの多くのスポーツ観戦と異なる点がひとつある。わかるかな?正解は、「観ている人もプレーヤー」ってこと。

いるよな、ゴルフ中継観ながらリビングでアイアンを振り回しちゃうお父さん(おウチの中でクラブを振り回すのはマナー違反だぜ!)。俺たちアマチュアは、勝ち負けだけじゃなく、プロのプレーの中に「なにか参考になることはないか」って考えてる。実際、プロのリズムや考え方は、大いに参考になるよな。

ただし、参考にしてほしくないことがひとつある。それはプレーの速さ。ハッキリ言って、プロの、それも優勝争いまっただ中の選手のプレーはかなり遅い。自分が打つ番になってからメモを取り出したり、グリーン上でいえばラインを何度も何度も確認したり。もちろん、プロたちは一打一打に人生が掛かる勝負をしているから仕方がないとは思う。だからといって、それを我々アマチュアが真似をしてしまうのは感心しない。

特別なことをしなくても、ちょっとした気遣いでみんなが気持ちよく回れるよ(イラスト:橋本幸規)

状況判断やライン読みなど、自分の「打つ準備」は同伴者がプレーしている間に済ませておく。セルフプレーなら、使ったクラブは持ったままカートに乗る。いちいちカートに戻らなくていいように次使う番手も持っていく。コースを走り回る必要なんてない。悠々歩いても、ちょっとの気遣いで周りも気持ち良くプレーできる。

たとえスコアはボギーでも、ゴルフっぷりはパープレー。そんなゴルファーを目指したいよな。普段からそんな態度なら、ベストスコアがかかったバーディパットを目の前にしたとき、仲間たちはきっとこう言ってくれるさ。「大丈夫、ゆっくり、好きなだけ時間を遣ってくれ」ってね。カッコいい、大人のゴルファーを目指そうぜ。ボギーからの伝言だ。

(『ボギー』2016年5月号より抜粋)